The Essentials

古泉洋子の
「愛のある服しか欲しくない」

さまざまな雑誌で活躍するファッションエディターの古泉洋子さんが、ワードローブに必要な「おしゃれの名品」を
女性の生き方とともに綴るコラム。
夏を涼しげに過ごすためのワンピースについて取り上げます。

Photo:HAL KUZUYA

Vol.5 誠実なワンピース

 「実家から野菜が送られてきたから、夕方ウチにきてごはん食べない?」。

 貴子は、昔から本当に料理が上手かった。大学時代からだから、もう20年以上のつきあいになるかもしれない。就職して間もない頃は、お財布が寂しくなりかけた絶妙のタイミングでかかってくる貴子の電話に何度も救われた。「冷蔵庫の残り物だからたいしたものはできないけど、一人で食べるのもつまらないし。ビール一缶買ってきてよ」。薄切りにしたきゅうりと香菜に鷹の爪を添えてごま油と醤油と酢で和えたもの、それから、前の晩に手に入れたお手頃なブロック肉で作り置きしていたというゆで豚には辛子醤油をつけて。これにキンキンに冷えたビールさえあれば、誰だって幸せだ。大抵こういう風に、そこにある食材をその場のインスピレーションで、ちゃちゃっと作ってしまう人の料理ほど美味しい。

 この天性のセンスを周囲が放っておくはずもなく、貴子は出版社の知り合いの勧めもあって料理研究家の道へ進んだ。長野で代々地元のために尽くす政治家の家に育った彼女は、物事を斜めに見て邪推したりすることもなく、いつだってニュートラルで朗らか。そんなキャラクターがにじみ出た、素材を生かしたシンプルで気取らないレシピは、毎日の食卓をさりげなくおしゃれに彩りたい女性たちから絶大な支持を得るようになり、この春からはテレビの料理番組にもレギュラー出演している。

 若い頃からの服好きが高じてスタイリストになった私は、最近貴子から衣装担当を頼まれた。「美味しいものを食べ過ぎているから……」と体型を気にする彼女に私が選んだのは、生成りに織り柄で白いボーダーを表したシアサッカー素材のワンピース。いつも使っているリネンのエプロンとも相性がいい。私は誰より貴子が作る料理の美味しさを知っている。風のように軽やかなワンピースをまとう姿は、“普通なのに気が利いている”貴子の魅力そのものだ。

 自分の存在を無理をしても立派に見せたい、できるだけで予算をかけずに。そんな価値観は、加速度を上げて変わる時代的にも、40歳を超えた大人という年齢的にももう合わなくなってきている。見栄を張る、そのマインド自体がかっこ悪い。

 清潔感がありながら上品。肩の力を抜いて着ても、適度にモード感が漂うそのバランスを体現してくれるブランドが「プレインピープル」。東京発信で衣食住のライフスタイル提案型コンセプトストアとしてスタートし、この冬、10年を迎える。

 ラインナップされている魅力的なアイテムのなかでも、夏にさらりと着られるワンピースは、毎年人気のアイテムだ。特徴は表情のある素材感と、うまく体型をカバーしてくれるシルエット。個人的にも愛用しているが、夏の朝に何を着ようかと考えるとき、あの肌触りの心地よさを思い出し、真っ先に手が伸びる。 今回の夏素材ワンピースは、この季節だけのシアサッカー素材。浴衣を着たときのような、さらりとした着心地は誇張することもなく、等身大の自分のために選ぶ服だと思う。

イタリアで織られた先染めリネンコットン素材を使用。マルチボーダーも生成りと白の馴染みトーンなので、ポップになりすぎない。大きめの畝は肌に触れる面積も少なく、蒸し暑い日本の夏も快適に過ごせる。

ハリのある素材を直線的なシルエットで仕上げているので、気になる体のラインも拾わない。またボーダー生地をバイヤス使いにしているので、視覚的にも 着やせ効果が期待できるのもうれしい。

前後ともすっきりモダンに見せてくれるV開き。後ろ身頃の開きには細いグログランリボンがついていて、ひとさじのフェミニン感を添えてくれる。

モード感のあるオールインワンは、上質なオーガニックコットンを日本で織り上げたブロード製。できるだけ無理な力を加えず、元来の風合いを生かした加工を施しており、素材の良さを楽しめる。

ワンピース 38,000円(税抜)オールインワン各33,000円(税抜)/ともにプレインピープル

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  • ※掲載商品は定価表示となっております。
profile

古泉 洋子 Hiroko Koizumi

ファッションエディター。モード誌から女性誌まで幅広いターゲットの雑誌を中心に活躍。『Numero TOKYO』ではファッション・エディトリアル・ディレクターも務める。モードをリアルに落とし込むことを得意とし、著書に『この服でもう一度輝く』、『スタイルのある女は、脱・無難! 87 Fashion Tips』(講談社)。イタリアと育った街、金沢、そしてサッカーをこよなく愛する。
Instagram:@hiroko_giovanna_koizumi

Photo:Asa Sato(Fashion)